ひとりでのアプリ開発 - fineの備忘録 -

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Web開発 - HTML:HTML Living Standard と HTML5 について

初めに

 現在は、HTML Living StandardがHTMLの標準となっています。本記事では、HTML5とHTML Living Standardの2つの標準に分裂するまでの経緯と現在の標準がHTML Living Standardになった経緯を簡単にまとめます。

HTML Living Standard と HTML5 について

今までのHTMLについて

 今までのHTMLは、次の団体が標準化を進めていました。

バージョン 管理団体
HTML1.0~2.0 Internet Engineering Task Force (IETF)
HTML3.2~5.2 World Wide Web Consortium (W3C)

HTML 4.x

 W3Cは1997年にHTML4.0、1999年にHTML4.01を勧告します。

 このころからW3CはHTMLのもととなったSGMLの思想に基づく大きな改革を行おうとします。

SGML(Standard Generalized Markup Language):

 宣言型のマークアップ言語を定義するためのISO規格

 HTMLの中から見栄えを定義する要素を排除する計画を立てます。また、純粋なSGMLの規格に準拠するしようとして、将来的にはHTMLを捨てて、完全なSGMLアプリケーションとして定義可能なXHTMLに移行する方針を打ち出しました。

 SGMLに準拠することで、多くのSGML関連ソフトウェアを流用でき、ブラウザの開発も楽になるとの主張でした。実際としては、大半のブラウザはレガシーなHTMLに加えてXHTMLのサポートも必要となりました。

WHATWG

 理想を求めて、XHTMLへの移行を進めるなどW3Cの方針に不満もあり、2004年2月の W3C ワークショップで、OperaMozillaがWeb開発者のニーズを取り込んだHTMLの開発再開を提案しましたが否決されました。

 これを機に、2004年6月、Apple, Opera, Mozilla の開発者達は WHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)を設立しました。

W3CWHATWGの共同作業開始

 W3CXMLへの移行には無理があったと表明し、翌 2007年3月に発足した W3C HTML WG は、WHATWG と共同作業を開始しました。2008年1月にHTML5の草案を公開し、2009年7月にW3CXHTMLの開発を正式に中止しました。

HTML Living Standard

 W3CWHATWGは共同作業を行いますが、再度分裂を始めます。

 WHATWGが HTML Living Standard を開始するまでに起こったことは次の通りです。

  • 2010年1月:WHATWGHTML5(including next generation additions still in development)を発表
  • 2011年1月:HTML5(including next generation additions still in development)を版数のないHTMLに改名
  • 2011年10月:新Web Applications 1.0 と版数の無い HTML を統合して、HTML Living Standard を開始
HTML5

 W3CWHATWGの仕様と似てはいるけれど細部の異なる独自仕様を策定に進み始め、2014年10月にHTML5を、2016年11月にHTML5.1を勧告しました。

W3CからWHATWGへの移管

 W3Cが勧告するHTML5/HTML5.1とWHATWGが策定を進めるHTML Living Standardの2つの標準に分裂する状態となっていました。

 MicrosoftW3C をベースとしましたが、GoogleChrome, MozillaFirefox, AppleSafari, Opera などの主要ブラウザでは W3C に準拠することを辞め、HTML Living Standard を標準仕様として採用し始めました。

 唯一の W3C 派だった Microsoft の Edge も、2018年12月6日、Edge を Chrome と同じ Chromium ベースに移行することを発表。こうした流れを受け、2019年5月28日、W3C は独自の HTML の標準化を断念し、今後の HTML 標準化は WHATWG にゆだねることを決めました。

 そして、2021年1月28日、W3C の HTML 関連の仕様はすべて廃止され、WHATWG の HTML Living Standard に完全統一されました。現在では、HTML Living StandardがHTMLの標準となっています。